2015年1月28日水曜日

お手軽赤道儀自作 3.本体( 赤経体)の作製

1.はじめに
 とりあえずの設計ができましたので、まずは本体の組み立てを行ってみました。
設計図通りに部品を作って、最後にピタッと組み上げる、

なんてことは普通のおっさんの工作精度では無理なので、一つ部品を作っては、その部品に合わせて次の部品を作る、という行き当たりばったり製法になります。

2.材料
寸歩を指定して切ってくれる工場がありそちらを利用しました。
寸法精度は高くないので、1mm大きめに注文して、研磨したほうが安心です。

・ステンレスキャップボルト(φ3x15 25本,φ3x10 8本、近くのホームセンター)
・高ナット(10mm 2本、近くのホームセンター)
・クレ556
切削油があれば良いのですが簡易的にはこれでも十分。飛び散るのが難点です。

3.道具
雌ネジの下穴が垂直に開くかどうかが、この工作の肝になるので、よく切れるドリルは必要です。
微動ステージ付きのボール盤があれば文句ありませんが、普通のおっさんの家にはありません。
このスパットドリルはとても良く切れる刃なので、普通のおっさんが持っているようなしょぼい電動ドリルでも綺麗に穴が開けられます。
垂直かどうかはまた別の話ですが。。。

・タップ(3.0,4.0,w1/4,Amazon)
・やすり類いろいろ
面取りのために金属用のヤスリがあると楽チンです。なくても問題ない

4.製作


まずは、回転軸を止める、ベアリングの固定を行いました。
これが失敗。
先に回転軸を決めてしまうと、その軸にぴったりあった箱を作らないと、軸が斜めにねじれてしまってまわらなくなるのです。最後にしたらよかったです。


基本的には側面の部材にドリルで下穴(2.8mm)を開けて、3mmのタップを切る
タップ穴に合うように上下面の部材に3.5mmの穴を空ける
の繰り返しです。


モーターのケーブルはモジュラージャックを使って、ドライバと接続することにしました。
ケーブルの結線を変えることで、南半球の対応も可能にしたいと思ったためです。


モーターはφ3x50mmのネジを使って側壁に止めました。
ウォームホイールとウォームギアの間隔を調整しなければならないので、側壁側の穴は5mm開けています。
上側の板を止めるときは、軸が回ることを確認しながら、慎重に全部のネジを均等に締めて行きます。




いろいろやって、最終的にはこんな感じ。こちら側の側面はむき出しにしました。

カメラが繋がっている棒状の部品は、以前から使っていたものです。
ドイツ式赤道儀と呼ばれるものの部品を真似て作りました。
なかなかのバランスです。


4.まとめ

お気軽赤道儀の本体が大まかに出来上がりました。
次はいよいよ制御系の実装ですかね。
頑張らねば。










2015年1月15日木曜日

お手軽赤道儀自作 2.本体( 赤経体)のデザイン

1.はじめに
モーターが回りそうということで、本体のポンチ絵を描きました。

できるだけナノトラッカーサイズで組み上げたいものですが、すでにモーターは購入済みで、これがすこぶるでかい。いろいろ考えた挙句、結局当て勘で寸法を決めました。

2.材料
アルミ板 100x60x5 2枚 (東急ハンズ)
リニアシャフト8mmx100mm(MONOTARO)
ステンレスシャフトカラー SSC0808 3個 (MONOTARO)
ベアリングホルダ(ベアリング付き) 2個 (オリジナルマインド)


3.設計
これが問題のポンチ絵
黄:ウォームギア
緑:ウォームホイール
灰:モーター

これだけ見てもよくわからないので、今ある部品を並べてみました。

イメージ湧いてきた、、、かな?先は長そうです。



2015年1月11日日曜日

お手軽赤道儀自作 1.モーターの動作確認

1.材料

赤道儀自作のためにはステッピングモーターが必要ということはわかりましたが、ステッピングモーターは電池をつなげればすぐ回る といったものではないらしいのです。

色々調べたところ

[マイコン]→[ドライバー]→[モーター]
とつなげなければいけならしいのです。

【マイコン】
しかしマイコンって古いなー今はパソコンって言うんだよ なんてつっこみしながら調べていたらマイクロコンピュータでもマイコンピューターでもなくマイクロコントローラーの事らしいです。
スイッチのようなトリガーに反応してドライバーに命令を送る装置 のようです。

どうやら最近はUSBにつなげてプログラムを送る(コピーみたいな感じ)だけで、命令通りに端子の電圧をオンオフしたり、信号を送ったり、逆にセンサーの値を読み取ったりということをしてくれる装置があるらしいです。
すごい!
早速買いました。


こんなやつです。穴の空いた黒い部品のところに端子があって、そこの電圧を上げたり下げたりすることで信号をやりとりするらしいです。つまり、この端子を別の何かと接続するわけですね。

接続にはこんなヒモを使います。半田付けとかいらないので、簡単!オーディオの接続みたいな感じです。

【ドライバ】
マイコンからの命令を受け取って、モータを動かす信号(パルス)を発生させる装置のようです。仕組みとかさっぱりわかりませんが、売ってるので、それをそのまま利用することにします。ストロベリーリナックスと秋月電子から似たようなものが出ているのですが、ちょっとだけ大きいけどちょっとだけ安い秋月電子の方にしました。


【モーター】
とにかく、ギアなしでカメラを回すのですから、結構トルクが必要かなと思い、できるだけトルク値の大きいものと思いました。ウォームギアの孔径が5mm(←ここがみそ)なのでモータの軸が5mmだと都合が良いです。
そんなわけで、なんだかわからないですが、買いました。


【その他】
電池ボックス(単3x4) x2個
みの虫クリップ付きリード線 10本
ハンダ
半田ごて

2.動作テスト

【接続】
接続方法は他の人のブログなどを参照させていただきました。
リンク貼って良いかわからないのでつけてませんが、おそらく検索するとすぐに出てきます。
ズバリ結論だけいうと下図です。
少し迷ったのはモーターのケーブル(4本もある!)の接続順です。
この方向で、上から赤、 青、緑、黒で接続すればOK。

電池はまさかの12V!感電しそうで恐ろしい。
ドライバの拡大図です。ジャンパーピンの設定がいるのですが、それは説明書に書いてあります。1−2、3−4をつなげて使いました。マイコンの電源をこのドライバから供給する設定です。電圧足りないんだけど動きました。

さて、肝心のマイコンとの接続ですが、左側に見えている黒っぽい部分にあるピンを使います。全部で10ピンありますが使うのは中央の6個3〜8だけです。
みの虫クリップで挟んで以下のようにつなげました。

ドライバ3番(GND)→Arduino GND端子
ドライバ4番(EXT-VDD)→Arduino 3.3V端子
ドライバ5番(SDO)→Arduino 12番端子
ドライバ6番(CK)→Arduino13番端子
ドライバ7番(SDI)→Arduino11番端子
ドライバ8番(#CS)→Arduino10番端子

写真の端子の部分からはみ出てるアイアンクローみたいなものはハンダです。うっかりこの端子に接続するためのケーブルを買わなかったのでみの虫クリップを挟むための部分を作りました。
を買っておけばよかったです(使えるのか?)。

どうやらマイコンとドライバ間は「SPI通信」という方式を使うらしいのですが、さっぱりです。
Arduino(マイコン)にはプログラムをする際にズルできるように、あらかじめ誰かが作ってくれたプログラム(ライブラリ)が付いています。
通信する端子の番号だけ決めればあとは気にしないでプログラム(スケッチと呼ぶらしい)を書けばOK らしいです。

【Arduino】
Arduinoの使用方法に関しては割愛しますが実に簡単です。
Arduino IDEなるソフト(無料)をダウンロードして、そのソフト上でプログラム(スケッチと呼ぶらしい。。。)を書いて、コンパイル→送信のボタンを押すとすぐにそのプログラムが実行されますarduino上でです。

【スケッチ】
使用したスケッチです。誰かのをパクったものです。

#include <SPI.h> //ライブラリ読み込み

//ピン番号設定
#define PIN_SDO 11
#define PIN_SDI 12
#define PIN_SCK 13
#define PIN_PORTC 10

//モーター回転速度設定
long speed = 100000;

void setup()  //初期設定
{
//ピンの入出力を決定
pinMode(PIN_SDO, OUTPUT);
pinMode(PIN_SDI, INPUT);
pinMode(PIN_SCK, OUTPUT);
pinMode(PIN_PORTC, OUTPUT);


delay(2000); //よくわからないけどちょっと待ってみる

digitalWrite(PIN_PORTC,HIGH); //ドライバを命令を受け付けない状態にする

//SPI通信の初期設定
SPI.begin();
SPI.setDataMode(SPI_MODE3);
SPI.setBitOrder(MSBFIRST);

}


void L6470_run(long speed){ //ドライバに命令を送るサブルーチン
  unsigned short dir;
  unsigned long spd;
  unsigned char spd_h;
  unsigned char spd_m;
  unsigned char spd_l;

//マイナス値を入力したら回転方向を 反転する
  if (speed<0){
    dir=0x50;
    spd=-1*speed;
  }
  else{
    dir=0x51;
    spd=speed;
  }
  
//回転速度の設定をするための命令を作る
  spd_h=(unsigned char)((0x0F0000 & spd)>>16);
  spd_m=(unsigned char)((0x000FF00 & spd)>>8);
  spd_l=(unsigned char)(0x000FF & spd);
  
//ドライバに命令を送る
  L6470_write(dir);
  L6470_write(spd_h);
  L6470_write(spd_m);
  L6470_write(spd_l);
 }

  
 void L6470_write(unsigned char command){// ドライバに命令を送るサブルーチン
digitalWrite(PIN_PORTC,LOW);  //ドライバが命令を受け取れる状態にする
SPI.transfer(command);  命令を送る
digitalWrite(PIN_PORTC,HIGH); //ドライバが命令を受け取れない状態にする
  }
  
void loop(){   //本文
L6470_run(speed);
delay(3000);

}


3.結果
これで回りました。speedの値を変えることで速度も変わりました。
低速の時にどのくらいの精度が出ているのかわからないので不安ですが、、、、
俄然やる気出てきました。

以上

2015年1月1日木曜日

お手軽赤道儀自作 0.能書き

1.はじめに

私の愛機ナノ・トラッカーが壊れてしまいました。

正確には壊してしまいました。

Contax Sonnar 180mm f2.8に三脚座を取り付けられたのが嬉しくて、総重量4キロ近くになる装備を乗せたのが原因です。

新たな赤道儀を買おうと心に決めたのですが、いろいろ探しているとスカイメモの新型が出そうだというではありませんか。

大きさ的にもかなり気になる製品です。できればこちらが発売されてから選定したい。しかし、もっと簡単な装置も欲しい。
もう一つナノトラッカー買うかとか考えていると、ポータブル赤道儀を自作している人がいるではありませんか。それも結構たくさん。。。。

壊れたナノトラッカーの部品を使って赤道儀が組めないだろうか。

このプロジェクトはただのおっさんでもポータブル赤道儀が作れるか試してみることを目的としています。

2. 設計コンセプト
【ユーザーニーズ】
ナノトラッカーと同レベルで十分です。
すなわち、300mm(フルサイズ版換算600mm) で1分間追尾して、私が気にならない程度の追尾性能。
少し耐久性が上がると嬉しい。

【駆動方式】
赤道儀は基本的に
・ウォームギア式
・タンジェントスクリュー方式

と呼ばれるものに大別されるようです。

タンジェントスクリュー式の方が、丈夫に作れるみたいなのですが、連続撮影ができないのが問題です。
寝る前に仕掛けて、朝まで撮り続ける→コンポジット という手順で撮影していますので、ウォームギア式に決定です。

ナノトラッカーもウォームギア方式でした。
ナノトラッカーが壊れたのは、プラスチック製のギアが、過重に負けてしまったからでした。
上の画像でわかるようにたくさんのギアが使われています。

ただのおっさんにこの数のギアを調達もしくは自作して、精度よく組み立てるなんてのは到底無理と思いました。
できればウォームギア1段だけで出来ないでしょうか。



赤道儀は
約24時間で360度
1時間で15度
1分で0.25度
というゆっくりスピードで動きます。

ウォームギアを使って可能な減速は 1/歯数でナノトラッカーのウォームギアは歯数50なので、1/50に減速できるというわけです。

すなわち1分間に12.5度の速度で回転するモーターを作れれば良いわけです。

【ステッピングモーター】
赤道儀にはステッピングモーターと呼ばれる、モータが使われているらしいことがわかりました。ミニ4駆のモーターとは違うらしいのです。どうりでゆっくり動くと思いました。

どうやらコンピューター制御のようなのですが、例えば、1回信号が送られると
(360/ステップ数)度 の角度だけ正確に回転するというものらしいです。

たとえばステップ数400で計算してみると、
1ステップ=360/400=0.9度

となります。
上の数字で計算すると
1分間あたり12.5/0.9=13.111111ステップ動けば良いことになります。

さらに1ステップを細かく分割するマイクロスステップなる技術もあるようなのですが、難しいのでとりあえず無視します。

【精度予測】
マイクロステップがなんだかよくわからないので、それを使わないとして考えると、1ステップは大体4秒ちょっとです。4秒間は時計の針のように動かないので、まず、これくらいの誤差が生じます。

ウォームギアの偏心による誤差というのが起きるようです。
ギアの歯の位置によって速度が変わるということでしょうか。
今回の設計ですと歯一つ分動くのに1440分/50 分=約25分かかります。
25分の周期で速度が変わるということです。
撮影は大体1分ですから、相当組み付けに問題がなければ気にならないのではないだろうか。。。。

なんかいけそうな気がしてきました。

3.まとめ
・ポータブル赤道儀を作ります
・精度はナノトラッカーと同レベル
・ナノトラッカーのウォームギアとウォームホイールを利用したシンプルな設計

以上