2015年6月7日日曜日

トラベルスコープ70解像度比較

1.はじめに
セレストロン社のトラベルスコープ70を購入しました。
口径70mmの屈折式望遠鏡で焦点距離は400mmです。
約1万円で400mmf5.6が手に入るということで急遽欲しくなったのです。
望遠鏡は長さを犠牲にしている代わりにレンズの解像度が高いとも聞きます。
今回はこの1万円レンズがどの程度使えるのか試してみました。


2.使用機材
名称 OM-D E-M5 トラベルスコープ70 OM Zuiko Auto-T 300mm f4.5 Sonnar 180mm f2.8 Mutar-II
メーカー Olympus CELESTRON OLYMPUS CONTAX CONTAX
説明 メインカメラです 今回の評価対象 対照レンズ 対照レンズ Sonnarの焦点距離を伸ばす
備考
 
     

名称 ZuikoDIGITAL 70-300mm Kenko Mirror 500mm f6.3 UT-60 SBH-280
メーカー OLYMPUS ケンコー・トキナー Velbon SLIK
説明 対照レンズ 対照レンズ 持ち運び用三脚 自由雲台
備考        

今回使用したレンズ。左からOM300mm、ZUIkoDIGITAL 70-300mm、Sonnar180mm+Mutar-II、トラベルスコープ70。Kenko Mirrorは撮影忘れました。


3.評価と結果
トラベルスコープ70のf値は5.6固定です。
手持ちのカメラ用レンズは絞りを変えられるものと変えられないものがありますが、実際に使うときは、絞れる時は絞るし、絞らないときは絞らない。
ともかく、使用に際した条件と、最高画質での比較が知りたいのです。

というわけで、f値を変えてその写りを比較してみました。

撮影場所:静岡県熱海市 熱海港
撮影対象:熱海城、自宅近くの樹
条件:
・ISO200
・絞り優先
・撮影解像度:4608x3456(RAW)
・その他全自動

こんな風に写りますので、一部を切り出して比較しました。
すべての画像から250x250ピクセルの領域を抽出して並べています。
焦点距離によって写る範囲が変わっています。



3-1. 早速開放(f5.6)から
Zuiko DIGITALのひどさとOM300mmの健闘がわかります。
ZuikoDigitalは開放で非点収差がひどく、これまでも星に焦点を合わせられず苦労してきました。
これは設計もあるのでしょうが、個体差もしくは故障が原因ではないかと思っています。

SonnarはMutarを使用して360mm相当にしているのですが、そのせいもあり色収差(縁が紫色になってる!)がかなりでています。
この時点でトラベルスコープはOMとほぼ同等、その他2種よりも綺麗に見えます。焦点距離が違うのにOM300mmおそるべしです。

3-2. つぎに1段絞ってf8
Zuiko DIGITAlがぐっとよくなりました。(トラベルスコープはずっとf5.6の画像です)EDレンズ使用の現代レンズなだけあって色収差は少なめです。

3-3.さらに絞ってf11
Zuiko DIGITAL以外は変わりません(トラベルスコープはずっとf5.6の画像です)むしろ解像度が下がっているようにも見えます。Sonnarの色収差は少し治まってきました。
この段階でMutarを使用する前の絞り値で5.6ということになります。

3-4.もっと絞りますf16
OM,Sonnarとも色収差はほぼ治まっています。反対に解像度は下がってきています。

3-5.極限まで絞りますf22
回折現象のため完全に解像度が下がっています。シャチホコ(?)のヒゲなどは見えなくなってしまいました。


3-6.画像中央部はどうか
上までのシャチホコは画像の比較的端の方でした。イメージサークルから考えればそれほどではありませんがZuikoDIGITALはイメージサークルが小さいのでもしかしたら周辺が悪いかもしれません。またトラベルスコープは眼視を前提に設計されていますから周辺像は期待できません。
というわけで、f5.6での画像中央付近を比較しました。

シャチホコとあまり変わらないでしょうか。


3-7.ミラーレンズとの対決
私の手元には以前購入したKenko Mirror500mm f6.3があります。
どーうも、眠い画像であまり出番がないのですが、比較してみました。ついでに、上の評価では負けっぱなしだったSonnar180mm の名誉挽回とばかりにMutarを外して比較してみましたのでご覧ください。
こんな感じの樹を切り取ってみました。250x250ピクセルでの比較です。

ミラーレンズは色収差がないはずですが、幹の端が緑っぽくなっています。
非点収差による色にじみ、、、、なのでしょうか。原理はよくわかりませんが、フォーカスを動かすと、ボケが縦横方向に伸び縮みしますので、主鏡と副鏡のアライメントがおかしいのではないでしょうか。
トラベルスコープとOM300は先ほどの撮影結果とあまり変わりません。
Sonnar は画角が全く異なるのに、解像度(分解能)がほぼ他のレンズと変わらないことには驚かされます。この画像ではほとんど色収差は見られません。
Mutarを使用した際のf11に相当する、f5.6まで絞っているためでしょう。

トラベルスコープはコントラストは低いですが、OMと比較しても色収差(?)っぽいものが少なく、色再現性は高いようです。

3-8.実写比較
時間的に前後しますが、このレンズを使ってカワセミ撮ってみましたのでご紹介します。



まずはZuikoDIGITAl70-300での結果。
色のりは良いのですが、やはり解像度が悪いです。f5.6開放で撮影したためですね。



トラベルスコープによる作例。
色はおとなしめですが、まあまあの写りです。

使っていて思ったのは、ボケがうるさくない(?)感じで、フォーカスが合っていなくても、どこを狙っているかわかりやすい感じがしました。

望遠レンズでの撮影時は、フォーカスが合っていない状態で対象を視野に入れることは困難ですが、一方で、対象が視野に入っていなければフォーカスを合わせられない。というジレンマに陥りがちですが、このレンズの場合、ぼけたところのディテールがわかりやすい(ような気がする)のでさっとフレーミングができました。

4.総括
セレストロンのトラベルスコープ70は実売1万円程度と考えると、なかなか使えるレンズです。
良い点
・お値段が安い
・でかいくせに軽い
・解像度はまあまあで、色収差も少ない
・思ったよりフレーミングしやすい
・望遠鏡としても使える!(使いやすい)

悪い点
・全長が長い(当然40cm以上)
・再近接が20mほど(これは使用したマイクロフォーサーズ-Tマウントコンバーターの問題もあります)で野鳥撮影には改造が必要

こんなところでしょうか。
次は天体撮影でのレビューをしたいですが、
ずっと天気が悪い。。。。
















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